印旛村は東京近郊にありながら癒し系の豊かな自然と、見渡す限りの田園風景の魅力を持った場所であります。千葉県最大、全国有数の内水面である印旛沼は、その景観だけでなく、日本一の米作りができる農業生産基盤機能も備えているといえるのではないでしょうか。このことは、印旛村にとって大きな誇り高き財産です。
しかし、残念なことに、印旛沼は、水汚染の面で低い評価を受けております。そこで、今日は、農業経営環境から、問題を提起し、行政の考えをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
国の農政は、英語のノーに通ずると言われています。一粒たりとて輸入しないといった米が、輸入の自由化、国内流通の自由化によって、国の食管会計が破綻したことは、皆様ご存知の通りです。そして、ノー政の代表的悪政である減反政策が、いまなお、続けられています。私は、国の農政は農政としてあるけれども、額に汗して働く農業の担い手である農家の皆さんに、米作りを止めさせてはならない村政は可能だと思っています。
農業の担い手は今、トウチャン、カアチャン、バーチャン、ジーチャンのチャンチャン農業で支えていると言われています。
この印旛村はどうですか?
農業の働き手の年齢層の実態をどのように把握していますか?
農業従事者の平均年齢は62歳です。
農業の働き手のほとんどが60代を超え、次代を担う若者達の農業離れによって、農業の担い手が、どんどん減って来ています。これに拍車を掛けているのが少子高齢化です。このような現象は、印旛村でも例外ではありません。
農業の担い手の喪失は、農用地の荒廃を着実に進め、耕作放棄による遊休農地が増える一方です。印旛村の統計では、このような遊休農地はどれぐらいありますか?
およそ16万坪です。
このような現状を知りながら、村は何をしてきましたか?
村の予算総額は年間50億円弱ですが、この内、農業用予算はいくらですか?
1億8千万円です。
その内、農地管理対策につながる予算はいくらですか?
216,000円です。
印旛村最大の産業である農地のための予算というのは、村役場の職員一人の給料に満たないではありませんか。1億8千万円のほとんどは各種負担金と人件費に消えているとすれば、直接的に農業のために支出される金額はさらに限られています。村長、これで村の農業を守る行政といえるでしょうか。
財政的に限りがある中で、対応可能な範囲にも限りがあります。
日本の人口は減っているとはいえ、世界の人口は今や60億を超え、遠からず百億人の人口を抱える地球になろうとしています。
そして百億人の人口を抱えた地球の食糧問題は、世界が深刻化する緊急問題として、世界中の知識人が警鐘を鳴らしています。
わが国で唯一、自給自足できる食料である日本の米作りは、近未来の世界に誇る技術になろうとしているにもかかわらず、木を見て森を見ない国の行政は対策不十分であります。
少子高齢化を起因とする農地の担い手の喪失、米作りをしない耕作放棄による農地の荒廃、そして周辺の自然破壊という悪循環を益々拡大させています。私は村政の最大優先課題は農業だと考えています。次のような政策についてどのようにお考えか質問します。
一、農地は個人の資産であると同時に、社会的な資産です。農地を次世代に確実に残していくための政策として何があると思いますか。
農地は耕作の目的に供される土地を言いますが、五年毎に実施されます農林業センサスでは、水田や畑、果樹地などの農地は農地転用により減少しつつあり、本村におきましても、2000年からの5年間で139ha程が減少しました。農地を次世代に確実に残して行くことは、単に農家個々の収益のためだけではなく、環境保全の観点あるいは食料の自給率確保の観点からも重要なことであると考えます。また、特に水田に関しては、治水機能も有していることから、国レベルでの課題とも言えます。具体的な取り組みとして、本年3月に見直しを実施しました「印旛村農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想」の中で将来に向けて、今以上の農業生産力を確保しながら、自然環境保全の機能を十分に果たし、次世代に引き継げる魅力ある農業・農村を創造していくため、農業経営基盤強化の基本的な推進方向を次の4点と定めております。
@若い人が希望を持って取り組める高所得農業の推進
A安全で消費者ニーズに応えた、良質な食料を供給する農業の推進
B個くの主体性が確立された農村生活の推進
C環境保全等の公益的機能を維持できる農業の推進です。
なお、効率的で安定的な営農を進めることが農業生産向上のために必要なことと考え、農業に対する意欲と能力を持ちながら営農感覚にも優れた担い手として、認定農業者や集落営農の育成を図り、これらに農用地の利用集積を進めて行くことが、農地を次代に残していくために有効な手段であると考えております。
二、農地の担い手が減ることを防止する政策を何か考えていますか。
農業の担い手が減ることを防ぐための手段としましては、若い人が職業の一つとして選釈し易くするため、安定した収入の確保を行いながら労働時間の短縮を図るなど、魅力ある就労条件を確立する必要があると思います。この実現のために、効果的で安定的な農業経営を目指す基本的な目標としまして、次の3点が考えられます。
@個人の自発的な意志に基づいて就業のできる農業の確立
A労働に見合った報酬が得られる職業としての農業の確立
B労働環境が快適に整備されている職業としての農業の確立
なお、具体的な目標としまして、年間農業所得が570万円以上で、年間労働時間が2000時間以下とし、さらに定期的な休業を取得できる経営を目指すものです。
さらに、担い手に対し知識の向上に係る支援策としまして、農業委負会を始め農業協同組合や千葉県農林振興センターの協力を得て、認定農業者もしくは今後認定を受けようとする農業者または生産組織等を対象として、先進的技術の導入を含む生産方式や経営管理の合理化等の経営改善方策の提示など、重点的指導及び研修会の開催を計画しております。
三、相続によって農地が細分化・分散することの防止策の考えはありますか。
農地などを相続した相続人が農業を継続する場合には、相続税については納税猶予期限(20年)まで納税が猶予されるなど優遇制度があります。しかしながら、該当となる相続人は農業委員会が証明した農業経営を行うと認められる人であり、サラリーマンなど農業従事者以外の人は該当になりません。相続人は民法の定める割合により等しく財産を相続する権利を有していることから、農地についても細分化される可能性はございます。そこで、後継者が営農することが可能となるように、農業後継者に生前一括贈与を行うなどの手法を取って農地を確保し、農業経営規模の保全に勤めている方もいらっしゃいます。私有財産の取り扱いについては、行政として深く立ち入ることはかないませんので、農業従事者が経営規模を確保できるとともに、農地の分散化を防ぐための手法について農業委員会と連携をとりながら、周知してまいりたいと存じます。
四、遊休耕作放棄地の有効活用策としてアイデアはありますか。
遊休農地や耕作放棄地の発生要因としましては、農業の採算性の悪化や後継者の不足と農業従事者個人の高齢化が考えられます。昨年12月に農業委員会で実施した「耕作放棄地に関する実態調査」におきましても、田、畑、果樹園を合せ全体で53
ha農業用地区域内で19 ha、その他区域で34 ha)の農地が耕作放棄地となっており農地全体に占める割合は2.8%となっております。
農地は一度耕作放棄されてしまいますと、その機能を回復するためには長い年月と膨大な労力を必要とします。これを防ぎながら、周辺農地への悪影響を防止し、耕作地として継続的利用が可能となるよう、農業委員会が中心となり農地の貸し借りや売買に関する情報の提供を行うなどの支援策が講じられています。農家からの「貸したい」、「借りたい」が情報として蓄えられ、この対応に向けた具体的な取り組みが図られております。しかしながら、遊休地や耕作放棄地の解消が遅々として進展しない原因の一つとして土地の形状や立地条件が悪いなど受け手側が躊躇するような条件を持った小さな農地が点在していることが挙げられます。このため、近接した農地の耕作者に耕作受託を願うなど、理解を求めるための地道な取り組みも必要になると考えております。
ただいまの回答の内容には異論ありませんが、いささか具体策に欠けているのではないでしょうか。
仕事のやりがいは、所得水準や労働時間というよりも、顧客からの評価であり、農業の場合は、消費者から、おいしい、新鮮、子供に食べさせても安心といった評価を受けることであります。
安価な中国産の農産物に、安い価格で対抗すれば、日本の農業は滅び、日本から農地が消えてしまいます。日本の多くの伝統行事は、四季の移ろいと、農作業のサイクルに基づいています。農業が廃れるということは、日本の文化が消えてしまうことを意味します。
私たちの身体を作るのは、私たちが食べる物に他なりません。その食物として、農薬を大量に使った「効率的」な農法で生産された安価なものを求めるのか、手間がかかり価格は高いけれども安全で、かつ、近くで顔を知った人が作る新鮮なものを求めるのか、私たちは賢く判断しなければならないと思うのです。
安物で自らの身体を蝕み、農業消失で日本人としての精神文化をも失う、ということではならないと思うのです。
農業を通常の経済活動や企業活動と同じに議論しても打開策は出てこないと思います。いわゆる「経済効率」を追求すると必ず行き詰ります。逆転の発想が必要であります。
専業農家の仕事は大変です。肉体労働で、自然に左右され、収入は高くない。それではサラリーマンの方が良いと考えるのは当然です。しかし、一方で、家庭菜園が流行っているように、サラリーマンをやっている人、或いは、退職した人で、土いじりがしたい、自分で安全な食料を作ってみたいというニーズもあるわけです。そう思っていても、今の時代、農業をまったく経験したことがない人が多く、どうやって始めたら良いか見当がつかない人もいるわけです。
つまり、ひとつの形として、事業としての農業でなく、「自給自足」農業で、農地を維持するということもありうると思うのです。そのための農地の集約化、農業希望者の受け入れ態勢整備などに、村の行政が果たす役割は大きいと思います。
また、これに限らず、減反農地の複合利用、農地信託の利用など、さまざまな対策を複合的に実施していくことも必要でしょう。
印旛村には、グリーブという農産物直売所があります。農家の高齢化・後継者不足に加え、行商の衰退で、農業継続を諦めかけていた農家にとって、一抹の光明となりました。印旛村の農家の農業継続意欲を高め、地域を活性化し、グリーブが果たしている役割は非常に大きなものがあります。
グリーブの経営思想である、生産者と消費者を直接つなぐという発想こそが、印旛村、そして日本全体の農業を子孫に伝えていくための、おそらく唯一の方法ではないかと思います。
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